女性的な社会と男の拠り所

「世の中が女性化している」なんていうことを聞いたことある人も多いと思います。かわいいものがもてはやされるというのがその根拠の一端ではあると思いますが、女性=かわいい好きというのもまたステレオタイプというか「そんなものを押し付けられては女性差別だ」という論も成り立つのでこの辺りは難しいわけですが、世の市場の多くは「いかに女性を取り込めるか」ということに注力しているのも本当です。


「何を持って男性(女性)らしいか」という定義とかはここでは論じませんが、男性が物を選ぶ際も女性的な視点というのは無視できないものです。たとえばファッション。男性的に「カッコいい」というものは時に女性から見て「素敵」と思わせるものであります。その時、男性の選んだものは女性の視点からも選ばれたものであり、これは感性が女性化していると言うことも不可能ではありません。


女性の市場は強いとはよく聞かれることで、女性の消費につけこむ(悪い言い方ですが)商売をして儲けているファッション業界や美容の業界は一つの典型だと思います。強いのであれば、世の中の商品は女性に向けて作られるものも多くなります。その比率が以前にも増して多くなっている、ということが女性化しているということの根拠ではないでしょうか。グローバリズムアメリカ化というのに似たことです。ちょっと違うか。


一昔前、非常にステレオタイプなことを言えば、電子機器(いわゆるデジモノ)なんていうものは男性が好んで選んでいました。「ビデオデッキの使い方がわからない」のは女性一般に当てはめられるほどよく言われました。それが今やもっと複雑なMP3ポータブルオーディオやパソコンまで使いこなします。そして携帯電話の強固なユーザーは女性です。


デジモノの多くは女性向となりました。あるいは、やはりあまり凝るところではないスピーカーとかなんてものはインテリア的要素を強く出すことでスピーカー自体のスペックよりは部屋に起きたい「家具」として女性向への転身が進んでいるかもしれません。それと同様に多くは機能よりも見た目。スタイリッシュでおしゃれでなうなやんぐにばかうけなのがよいのです。


結果的に男性が商品を選ぼうにも女性にも受け入れられる体裁の商品の中から選ぶことがとかく多くなり、男性も女性も同じようなものを持つようになっています。それ自体はなにも悪いことではないですし、私自身別になんの抵抗もありません。ピンク色のものをもつことが特に恥ずかしくなくなった時代です。もちろん全体で調和が取れていればの話ですが。


モノの外側ももちろんですが、電車の女性専用車両の導入や女性向サービスの数々。ご飯屋も女性向な少量の商品という付加価値や、女性が鞄に入れやすいペットボトル、女性の生活が便利になるようなグッズは非常に多いです。こうした女性の強さは大きなモノ、車などにも見られるでしょう。コンパクトカーの人気は日本の住宅事情とかもそうですが、「かわいい車に乗りたい」という女性の好みも充分あるように思います。これが転じて女性に好まれる電車車両や飛行機、船舶などももしかしたら増えるかもしれません。むしろ、内側はすでにそうなっているようにも思います。サービスだけでなく清潔さとか座りごごちとかそういう。


多くのものが女性と男性両方に満足行くものになるよう作られていますし、これは一つの平等化の形であると思うので、今後もどんどん推し進められていくと思いますし。人が作るものはそうなっていくでしょう。


では、女性に避けられ男性にウケつづけるモノはあるのでしょうか。たとえば自然なんてどうでしょう。風景や自然はすでに昔から女性に好まれて来たと思います。古くから日本だけでも歌に読まれてきた歴史がありますからこれは除外されます。動物はいかがでしょうか。犬をはじめ、多くのキュートでかわいらしい生き物はすでに女性の手の中です。そうなると、私的に最後に残る分類があります。


私的には昆虫が最後の砦なんではないかと思うのです。動物の中でも昆虫類の女性ウケの悪さは他に類を見ません。カエルやヘビが苦手ももちろん居るでしょう。ネズミがダメな人もいる。ハダカデバネズミなんて信じられないということもあるかもしれません。犬や猫がダメな人も当然いますし、鳥類が気持ち悪い、魚類もかなりのもんです。しかし、昆虫、というよりは「虫」といわれるタイプの生き物。これはかなりポイントが高そうです。


いわゆる「足の多いやつ」が苦手な人は多そうです。カブトムシやクワガタをはじめ、クモ・ムカデや広げればカニやエビも生きてる状態はダメな人多そうです。虫を捕まえて標本にするとか趣味で集めて飼うとか、好きになることにこれだけは時間がかかりそうです。まさか「ヒトの女性に好かれると生存が保たれる」なんていう理由でかわいく転身する虫がいるとも思えません。そもそもあの足がいくつもはえてたり地面の側の接合部の感じが許せなかったりとかとにかく生理的に受け付けないという人がかなりの数いるはずです。


しかし、問題は男性でも苦手な人が増えていることです。問題というよりは生活に密接に関係しなくなってきたので触れる機会が減り、気持ち悪いと思うことが増えたのでしょうが、とにかく男女でまだまだ趣味にしたりなんとか好きになろうというところで最後に残るのは虫かなと思う所存です。


女性化女性化と言葉を使ってきましたが、逆に考えれば「男性化」とも言えなくも無いのであまり突っ込まないで欲しいのですが、NDSが女性にバカ売れして、PSPのCMは「女性にもウケるPSP」見たいな売り方をしたり、海外旅行のCMはほぼ女性だったり、消費を幅広く積極的に行っているのはやっぱり女性なんだろうな、と結果だけみて思うわけです。